運送事業の事業モデル|運送会社を経営する人は知っておきたい経営ロードマップ

苦しくなる道も10年計画で見ればただの通過点

設備産業としての運送業の現実

運送事業は、まずトラックを購入またはリースして事業を開始する「設備産業」です。
そのため、経営経験のないまま参入すると、まるで深い海に潜るような覚悟が必要になります。
この構造を理解せずに始めてしまうと、夜も眠れないほど苦しい経営環境に遭遇することになるでしょう

トラック導入後に訪れる「5年間の赤字期」

トラックを導入すると、向こう5年間は厳しい経営環境を迎えます。
なぜ苦しいかというと、トラックを5年で償却、またはリース払いすると、ほぼ間違いなく赤字になる構造だからです。

運賃の相場や経費の水準を並べていくと、新車を導入して5年で支払いを終えるペースでは、
売上の約10%が赤字に落ち込むことになります。
しかもそれが5年間続くのですから、その分の運転資金を確保しなければなりません。

たとえば中型トラックを10台増車した場合、毎月およそ100万円の赤字が出るペースです。
創業支援資金として2,000万円を調達しても、わずか2年で底をついてしまうでしょう。

しかし、これは失敗ではありません。
実は、これこそが運送事業の正常なルートなのです。


運送事業が直面する“困難期”

設備投資から3〜7年までは、「困難期」に突入します。
この時期から、経営者は“事業運営”よりも“資金調達”がメインの仕事になっていきます。

この悲惨な経営環境は、誰もが通る当たり前のルートですが、本気で苦しいものです。
何も考えずに突入すると、夢も希望もなくしてしまうことがあります。

まるで成長期に起こる関節痛のようなものであり、この時期を耐え抜けるかどうかが分かれ道です。


「困難期」で絶命しないために

この時期に多くの経営者が行き詰まる原因は、
資金のショートと高金利商品の利用にあります。

誰からもお金を借りられず、取引先や従業員への支払い期日は容赦なくやってきます。
銀行に見放された経営は、運転資金を回すだけでも本業の利益以上のコストがかかってしまうことがあります。

だからこそ、経営を数字でコントロールする力が求められます。

経営者を苦しめる「金融の蟻地獄」に注意

運送会社が利用する主な資金調達手段を比較してみましょう。
同じ1,000万円を借りたとしても、金融コストには大きな差があります。

資金調達手段金利年間コスト(目安)
銀行1〜4.5%25〜75万円
銀行+保証協会1.8〜4.5%45〜125万円
リース会社3〜7%75〜175万円
税金滞納などの延滞金7〜14%175〜350万円
ビジネスローン12〜14%300〜350万円
ファンド系リースバック14〜14.8%+α350〜370万円+α
ファクタリング60〜240%1,500〜6,000万円

※当社調べ。実際の契約内容によって異なります。

このように、銀行取引が止まると一気に高金利商品しか残らなくなります。
金利差はそのまま経営リスクの差です。
焦って高コストの資金を選べば、経営をさらに圧迫する結果になります。


投資期と回収期の10年サイクル

運送事業は、投資期 → 困難期 → 回収期というサイクルで成り立っています。

  • 投資期(0〜5年):トラック導入と資金投入の時期
  • 困難期(3〜7年):資金繰りが最も厳しい時期
  • 回収期(6〜10年):リース・償却が完了し利益が増える時期

10年間の事業計画で見れば、回収期が来ることは予定の範囲内です。
しかし、最初の5年間で積み上がった赤字が金融機関の評価を下げ、
融資のハードルを上げてしまうことは知っておきましょう。


経営ロードマップを描くことが“生存率”を上げる

運送業の経営は、短期の利益よりも10年スパンの資金計画と経営設計が重要です。
初期の赤字期を「通過点」と捉え、回収期までのキャッシュフローを見通すことで、
事業を安定軌道に乗せることができます。

グリーンオートリースでは、こうした経営サイクルを理解した上で、
運送会社様の資金調達・リース・経営改善支援を行っています。

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