導入したいトラックのリース料と黒字運賃シミュレーター

① トラックファイナンスのコンテンツ

新車価格の高騰が続く中、「どれくらいの運賃なら採算が取れるのか?」は、多くの運送事業者が直面している課題です。
そこで今回は、運送業の皆さまに参考となる 原価計算ソフト を活用し、
「導入したい車両のリース料」や「黒字になる運賃ライン」を、具体的な事例を使って分かりやすく解説します。

今回使用するのは、無料で使える輸送原価計算アプリ『運送会計.com』
平均的な経費モデルをもとに、導入するトラックの価格やリース期間に応じて、どの運賃水準で黒字化できるのか をいくつかシミュレーションしてみましょう。

小型トラック(3tワイドロング)の黒字運賃シミュレーション

ここでは、3tワイドロング・跳ね上げゲート付きトラックを導入した場合、
どれくらいの運賃であれば黒字になるのかを具体的にシミュレーションしてみます。

3tワイドロングゲート付トラック導入時の輸送原価モデル

新車の小型3tワイドロングアルミバン 跳ね上げゲート付きのトラックを導入した時に、
どれくらいの運賃で黒字になるのかシミュレーションしてみましょう。

トラックの価格:740万円(税別)

▼リース期間ごとの月額リース料

リース期間料率月額リース料
8年リース1.37101,380円
7年リース1.52112,480円
6年リース1.72127,280円
5年リース(一般的)2.00148,000円
4年リース2.50185,000円

▼想定する運行条件

① 走行距離:200km
② 高速道路利用:なし
③ 稼働日数:25日

輸送原価計算シミュレーションをすると、上記車両を 5年リース で調達した場合、黒字に必要な運賃は
→ 35,200円(税別) 
となります。

仮に運賃を 32,000円 で受けた場合、5年間での赤字は 約480万円。
同じ条件で 10台 稼働させていた場合は 4,800万円の赤字 となり、
3年目あたりから資金調達やトラックリースの返済が難しくなる可能性があります。

運送事業者が選択すべき2つの判断

運送事業者は仕事に対して、

  • 投資期にどこまで赤字を覚悟するのか
  • あるいは、運賃に見合った車両・リース年数で運行するのか

いずれかを選択しなければなりません。

8年リースで再試算した場合

8年リースで再度試算をした場合、月額リース料は 月10万円前後 まで下がり、25日稼働で計算すると 1日あたり約4,000円 のリース料まで下がります。

それでも、運送業として黒字化するには 33,000円前後の運賃は欲しい ところです。

また、車両価格の低いもの(100〜200万円安い中古トラック)を選択することで、
事業の黒字化ラインはさらにコントロールしやすくなります。

さらに、30日稼働 で償却すると、1日のリース料は 約17%低下し、1日あたり 3,300円 まで下げることができます。

このように、導入コスト(車両価格)と稼働率(稼働日数)によって輸送原価は大きく変わります。
そのため、ご自身の会社の経費構造に合った原価を必ず確認する必要があります。

導入車両コストにおける黒字化する運賃の表

走行距離と高速道路代を定義する必要がある為、ここでは200km走行で高速利用無し、25日稼働のマトリックスを作成します。
月額リース料を25日で割った、1日あたりのトラックのリース・償却の輸送原価です。

リース期間 料率 車両価格(円)
3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 8,000,000 9,000,000 10,000,000 11,000,000 12,000,000
5年リース 2.00 2,400 3,200 4,000 4,800 5,600 6,400 7,200 8,000 8,800 9,600
6年リース 1.72 2,064 2,752 3,440 4,128 4,816 5,504 6,192 6,880 7,568 8,256
7年リース 1.52 1,824 2,432 3,040 3,648 4,256 4,864 5,472 6,080 6,688 7,296
8年リース 1.37 1,524 2,032 2,540 3,048 3,556 4,064 4,572 5,080 5,588 6,096

導入して即黒字を狙うには、
1日あたりのトラック代(原価表の3番目の経費)は、運賃の10〜12%程度に抑えることを目安としてください。

具体的な経費事例を使い黒字になる運賃の目安のタリフを見てみましょう。(小型トラック)

輸送原価の相場での原価定義 経費
①ドライバー給料14,000+社会保険会社負担2,100 16,100
②燃費は6km130円(消費税抜き) 4,340
③車両費は740万の車両のリース料から25日稼働で案分 5,920
④保険料は45,000円を25日で案分 1,800
⑤修繕費は運賃の6% 2,100
⑥高速道路は実費 0
⑦販管費は日5,000円 5,000
⑧輸送原価合計 35,260

荷主からの業務条件

① 走行距離:200km
② 高速道路利用:なし
③ 稼働日数:25日
④ 運賃は:35,000円

いくらの車両を何年リースで組めば黒字化するか?

リース年数と車両価格ごとに黒字になる運賃目安タリフ

以下は、車両価格とリース年数ごとに「黒字になるために必要な1日あたりの運賃」を一覧化したタリフ表です。
走行距離:200km、高速道路利用:なし、25日稼働を前提としています。

リース年数 料率 車両価格(円)
3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 8,000,000 9,000,000 10,000,000 11,000,000 12,000,000
5年リース 2.00 31,700 32,500 33,300 34,100 34,900 35,700 36,500 37,300 38,100 38,900
6年リース 1.72 31,100 31,800 32,500 33,200 33,900 34,600 35,300 36,000 36,700 37,400
7年リース 1.52 31,100 31,700 32,300 32,900 33,500 34,100 34,700 35,300 35,900 36,500
8年リース 1.37 30,800 31,300 31,800 32,300 32,800 33,300 33,800 34,300 34,800 35,300

※6〜8年リースについては、年数が伸びるほどリース償却運賃は下がりますが、
 担保価値が低下し、審査や資金調達難易度が上昇します。

この表を使えば、運賃が35,000円の場合に黒字となる車両価格とリース期間(年数) を確認できます。
どの価格帯のトラックを、何年リースで導入すれば黒字化できるのか――その“黒字ライン”を事前に把握することが重要です。

現在販売されている新車をリースで導入する場合、まずは その車両の損益分岐点を必ず確認 してください。
もし、輸送原価よりも低い運賃で仕事を受けてしまうと、リース期間が終わるまで赤字が積み上がり続ける ことになります。

そのため、事業計画の段階で
「どれくらい赤字が発生するのか」
「その赤字をどう補填しながら資金繰りを維持するのか」
という視点が非常に重要になります。

株式会社グリーンベルでは、
車両導入時の黒字運賃が一目でわかる “黒字計算方程式(黒字運賃シミュレーター)” をWeb上で公開 しています。
車両価格・リース期間・走行距離を入力するだけで、あなたの会社の条件に合わせた黒字ラインを簡単に確認できます。

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