黒字化しやすい台数は最低でも何台から?

② 運送事業の黒字化支援Blog

運送事業の生産性(収益性)を高められる台数について

まず、運送事業を始めるには最低でも5台の車両が必要です。
しかし、この5台規模であっても、売上に直結しない「間接コスト」は必ず発生します。

営業所や駐車場の賃料、運行管理者の人件費、通信費など、事業を運営するための固定費はどうしても避けられません。

では、実際にどのくらいの台数から「黒字化しやすい構造」になるのか?
ここから、具体的な数字を用いてわかりやすく解説していきます。

運送事業の原価構成を理解しよう

① 製造原価(直接コスト)と② 販売管理費(間接コスト)

運送事業を経営するうえで発生するコストは、大きく2つに分かれます。

  • ① 製造原価(直接コスト) … トラックを動かすために直接かかる費用(燃料費、人件費、整備費など)
  • ② 販売管理費(間接コスト) … 会社を運営するために必要な費用(事務所家賃、管理者人件費、通信費など)

売上を拡大するためには、当然ながら製造原価は増加します。
しかし一方で、売上に比例しないのが 販売管理費(間接コスト) です。

業界平均の間接コスト率を知っておこう

では、実際に世の中の間接コスト率はどのくらいなのでしょうか。
保有台数別に見ると、100台以上の大手運送会社の販管費率はおおよそ 売上(運賃)の10%。
一方、10台未満の小規模事業者では 23%前後にもなります。

企業規模(保有台数)平均販管費率
100台以上約10%
10台未満約23%
業界全体平均約15%

大手は一つの営業所にまとまった台数で売り上げを確保し、 全拠点で共通の管理システムや給与計算システムを導入することで、 1人あたりの管理負担を大幅に軽減しています。

また、大中小すべての運送会社を平均すると、販管費(間接コスト)は売上の約15%。
小規模ほどこの比率が高くなりやすく、利益を圧迫する要因となります。

少なくとも間接コスト率15%を目標に、コストを抑える意識が必要です。
とくに立ち上げ初期の運送事業者は、まず自社の間接コストが 月額いくらかかっているのかを把握しておきましょう。

販売管理費を集計しよう(販管費の主な項目)

まずは、自社で毎月どんな販売管理費が発生しているのかを整理しましょう。

  • 役員報酬(ドライバー兼務の場合は製造原価に計上
  • 事務員の給与(社保含む)
  • 事務所経費(通信費・備品など)
  • 駐車場代・家賃
  • 水道光熱費
  • フォークリフト・緩衝材・消耗品など
  • 行政書士・税理士などの外注費
  • 交際費・会費
  • 有給車両・予備車の維持経費
  • 雑費

以上の項目(ほかにもありますが)が、毎月どの程度の間接経費としてかかっているのかを把握しておきましょう。
さらに、これらの費用が運送事業の売上の何パーセントを占めているのかも必ず確認することが大切です。

黒字になりづらい中小運送会社の経営モデル

全国平均の月商2,000万円規模の運送会社を例に、 なぜ黒字になりづらいのかを具体的に見ていきましょう。

売上2,000万円の中小規模の運送会社では、間接コスト率(販管費率)は平均18%前後です。
つまり、毎月約360万円の間接経費が発生しており、保有台数はおおむね20台規模の企業が中心です。

【モデルケース】20台規模の販売管理費の内訳

費用項目月額
① 役員報酬800,000円社保含む
② 事務員給料400,000円社保含む
③ 事務所経費200,000円
④ 駐車場代・家賃700,000円
⑤ 水道光熱費200,000円
⑥ 緩衝材・消耗品など200,000円
⑦ 行政書士・税理士経費100,000円
⑧ 交際費・会費300,000円
⑨ 有給車両・予備車経費200,000円
⑩ 雑費・通信費など500,000円
合計3,600,000円(間接コスト率 約18%)

合計:3,600,000円/月(間接コスト率 約18%)

【平均値との比較と改善策】

2,000万円の売上で360万円の経費は中小企業の平均値ですが、大手・中堅を含めた全国平均の販管費率はおよそ15%です。

したがって、黒字化を目指すには次の2つの方法があります。

  • ・経費を 360万円 → 300万円まで削減 する
  • ・もしくは 売上を 2,000万円 → 2,400万円に引き上げる

このいずれかを実行することで、生産性(収益性)を全国平均水準まで高めることができます。

製造原価は売上に比例して増えるため、ある程度の上昇は避けられません。
ただし、導入する車両の金額やリース条件には注意が必要です。
それ以外の経費については、目標となる販管費率15%を意識して、必要な範囲でコントロールしていきましょう。

ミニマムで且つ最高レベルの生産性に達する台数とは?

上記の試算を踏まえ、大手並みの売上に対する間接コスト率10%を達成するには、以下のような台数・経営モデルが目安となります。

項目小型中型大型
① 売上30,000,000円30,000,000円30,000,000円
保有台数40台30台20台
① 人件費15,000,000円13,500,000円11,500,000円
② 燃料費3,000,000円4,200,000円6,000,000円
③ リース料3,000,000円3,000,000円3,000,000円
④ 保険料1,200,000円1,500,000円1,700,000円
⑤ 修繕費1,800,000円1,800,000円1,800,000円
⑥ 高速代1,500,000円1,500,000円1,500,000円
⑦ 販管費(間接コスト)3,000,000円(10%)3,000,000円(10%)3,000,000円(10%)
原価合計28,500,000円28,500,000円28,500,000円
営業利益1,500,000円(5%)1,500,000円(5%)1,500,000円(5%)

運送事業者が平均的な運賃と経費で事業を行った場合、販売管理費を10%に抑えることができれば、営業利益は自然と5%残ります。
この体制をつくることが「事業計画」であり、同時に保有台数の目標値になります。

売上や仕入れには相場がありますが、間接コスト率は経営者の工夫と努力次第で改善できる部分です。
無駄なコンサルタントや資金調達ブローカーに費用をかけるよりも、経営者自身が自社の数字を理解し、事業計画を立案できる力が重要です。

運送会社を立ち上げたなら、最低でも小型40台・中型30台・大型20台を保有目標に!

それを超えて成長を目指す段階でも、間接コスト率7%を維持できれば、、運送会社として安定した経営基盤を保ちながら黒字化を継続できます。

グリーンベルグループの支援

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